車いすが障害物に近づいたときに、警告音が出るようなセンサーを付けられないかと相談があり、ちょっと考えてみました。
後日、依頼先で、試作機を試させてもらうと、色々な問題点がわかり、採用できないという結果になりました。orz
購入品
以下の2つのパーツを購入し、ちょっとだけ改造をしました。モバイルバッテリーの5Vを昇圧器で12Vに変換して、車用の基板を使います。
改造
バックソナー
(1)本来は、車が後退するときに障害物があると警告音が鳴るシステムです。バンパーに穴をあけてDIYで取り付けます。開封すると、コントローラ部と距離表示器と4つの超音波センサーが入っていました。140cmぐらいに近づくと鳴り始め、近づくと警告音の間隔が短くなり、30cm以下では鳴りっぱなしになります。
(2)警告音がびっくりするほど大きかったので、表示器を分解してロータリーボリューム 10kΩ(RK09K1130A6S)をブザーの片方の線に挿入する(在庫があったから使っただけで、1kΩぐらいでもよかったかも)。絶縁のため底面をビニールテープで覆う。
(3)表示器にロータリーボリュームのつまみが通る穴をあけて、組み立てなおす。
昇圧器
昇圧器の出力は「DCジャック」なので、バックソナーの電源ケーブルに付け替える。
電源
電源は、モバイルバッテリーを使います。一般的なモバイルバッテリーでは、電流が少なくなる(たとえば40mA以下)と保護機能が働き、電力供給を止めてしまいます。そこで、待機時にどの位の電流を消費するかを測定したところ、障害物がない時で90mA、障害物があり警告音が鳴り続けている時で300mA でした。たぶん、低電力モードに対応したモバイルバッテリー(Anker PowerCoreなど)でなくても、使えるでしょう。もし乾電池を電源にしたら、数時間でなくなりそうです。
支持具
センサー部を、車いすの支柱に固定するための支持具を3Dプリンタで作成しました。30mm角のブロックに、センサーを通すΦ24mmの穴と、結束バンドとセンサーケーブルを通す溝と、支柱にあたる部分のへこみを付けました。
明らかになった問題点
- エレベーターを利用する際に、警告音が鳴り続ける。手元で警告音をOFFにする機能が必要になる。
- 壁を触りながら移動をする際に反応しないように、センサーを少し内向きに設定すると、壁付近の障害物を検知できない。
- 視覚障碍者のため左右のどちらに障害物があるか分からない。左右のどちらに反応したかが音色でわかると良い。
- 方向感覚が無くなる。おそらく、食堂から聞こえるテレビの音やその他の音を頼りに、自分の位置と方角を判断しているのだろう。警告音のせいで、小さな音の注目できなくなったと推定される。
解決策
こんな、まわりの風景を音声で説明する技術の完成が待たれます。
あなたのまわりの世界を読み上げる「Seeing AI」 (microsoft.com)
Seeing AI app - Indoor Navigation(英語)